今日は最終打ち合わせでした。
もうほとんどシンポジウムといった内容。
公開会議にしようか。
残り5席です。
現在の日本には、短歌、俳句、自由詩(狭義の詩)という三つの詩型があり、共存しているといって良いでしょう。
三つの詩型はお互いに影響し あっていますが、住み分けがされているのが現状です。
そのことが日本の詩にとって幸せなのかは、はなはだ疑問です。
当企画ではシンポジウム、ホームペー ジ、印刷媒体などを媒介とし、三つの型の交友の促進を目的とします。
それぞれの詩型の特徴や相違点を考え、時には融合するなどし、これからの表現の可能性を探ります。
戦後の詩歌の時間を問いなおす試みでもあります。
代表:森川雅美
実行委員:藤原龍一郎、筑紫磐井、野村喜和夫、高山れおな、
田中亜美、嵯峨直樹、山口優夢、岡野絵里子、
渡辺めぐみ、中川宏子、ブリングル御田
→参加の申し込みはこちらのフォームからどうぞ←
「詩歌梁山泊~三詩型交流企画」残り9席。それ以降は当日キャンセル待ちか、立ち(聞き〉です。
御中虫「第3回芝不器男賞受賞作品」より
じきに死ぬくらげをどりながら上陸
虹映る刃物振り振り飯の支度
結果より過程と滝に言へるのか
混沌混。沌混沌。その先で待つ。
季語が無い夜空を埋める雲だった
机を蹴る机を叩く私は蚊ぢやない
歳時記は要らない目も手も無しで書け
乳房ややさわられながら豆餅食う
この恋は成就しません色変へぬ松
夏の終わりに終わりはないあなたが好きだ
俳句です。
髙柳克弘『未踏』(ふらんす堂)
ことごとく未踏なりけり冬の星
桜貝たくさん落ちてゐて要らず
つまみたる夏蝶トランプの厚さ
うみどりのみなましろなる帰省かな
何もみてをらぬ眼や手毬つく
くろあげは時計は時の意のまゝに
刈田ゆく列車の中の赤子かな
亡びゆくあかるさを蟹走りけり
洋梨とタイプライター日が昇る
ダウンジャケット金網の跡すぐ消ゆる
野口あや子『くびすじの欠片』より
互いしか知らぬジョークで笑い合うふたりに部屋を貸して下さい
さみしさというばけものはひのおわりきみの番号(ナンバー)ひきつれてくる
ただひとり引きとめてくれてありがとう靴底につく灰色のガム
痛々しいまでに真白い喉仏震わせながら愛なんて言う
せんせいのおくさんなんてあこがれない/紺ソックスで包むふくらはぎ
待ち受けを空から海に変えている会いたくてしかたない夜である
言葉とかお前ほんとは嫌いだろきらいだろって闇を掻くひと
くびすじをすきといわれたその日からくびすじはそらしかたをおぼえる
雨降れば皆いっせいに傘ひらくはなやぎに似て去年(こぞ)の片恋
肘にある湿疹ふいに見せるとき目をそらさない君がいたこと
くびすじをなぞるいっぽんの指があり私はかたん、と傾いていく
光森裕樹『鈴を産むひばり』(港の人)より
鈴を産むひばりが逃げたとねえさんが云ふでもこれでいいよねと云ふ
風邪。君の声が遠いな。でもずつとかうだつた気もしてゐるな。風邪。
高木【かうぼく】の淡きこもれび自転車のタイヤに夏の風をつめをり
友人のひとりを一人の母親に変へて二月の雪降りやまず
※それはレジストリに“Melissa?”といふ
痕跡を残す行方不明の少女を捜すこゑに似てVirus.MSWord.Melissa
ひたむきさが常にまとへる可笑しさのまざまざたるにわれは黙せり
或る友が世界に選ばれ或る友が世界を選びなほしたり、今日
だから おまへも 戦争を詠め と云ふ声に吾はあやふく頷きかけて
恥づかしくなき豊かさも貧しさも持ちえず歩く大空の底
致死量に達する予感みちてなほ吸ひこむほどにあまきはるかぜ
【 】内はルビ
「それはレジストリに~」の行は、次の歌の詞書です